変形性膝関節症:ケアと留意点
変形性膝関節症:ケアと留意点
PA-C(認定医師助手)のRyan Shamus(ライアン・シャマス)氏が、変性膝関節症の典型的な経過について解説します。Ryan は、人工膝関節部分置換術と人工膝関節全置換術の違いを説明し、それぞれの治療がどのような場合に推奨されるのかについて述べます。
トランスクリプトを表示
変形性膝関節症:ケアと留意点
OrthoPediaで変形性膝関節症の概要と、その管理に関するケアと留意点についてご覧いただき、ありがとうございます。今日は、変形性膝関節症の原因、患者さんへの影響、そして痛みのない動きと活動を取り戻すための保存的治療と手術治療の選択肢について説明します。これらについて説明する前に、まず膝の解剖学的構造に触れ、どの部位が痛みの原因になり得るのか、診察の際に医師が何を評価しているのかを理解していただけるように説明します。
膝関節は3つの骨で構成されています。大腿骨(太ももの骨)、脛骨(すねの骨)、そして膝蓋骨(膝のお皿)です。腓骨は膝の周囲にある4本目の骨ですが、膝関節内の主たる関節機能には直接関与しません。腓骨は膝周囲の靱帯の付着部位となり、膝の安定性を高めますが、本日は膝関節内の関節腔そのものに焦点を当てて説明します。医師は、これらの骨や関連する構造を評価するために、必要に応じてX線検査を指示します。ここに示しているのは、健常に見える膝関節です。先ほどのイラストと同様に、大腿骨、脛骨、膝蓋骨が確認できます。骨の縁はすべて滑らかで、骨と骨の間には適切な間隔が保たれており、各関節の端を覆う健康な軟骨が存在していることを示しています。
この軟骨は関節軟骨と呼ばれます。関節軟骨が健康であれば、関節は摩擦なく滑らかに動くことができます。関節液を潤滑剤として、2つの軟骨表面が滑るように動く状態は、「氷の上を氷が滑る」状態よりも滑らかだといわれます。膝関節の中には、いくつかの種類の軟骨があります。関節軟骨は、骨の末端に存在する硬く保護的な軟骨で、そのほとんどは水分で構成されています。半月板軟骨は、よりゴムのように弾力があり可動性の高い軟骨で、膝関節の安定性を高めるとともに衝撃を吸収します。
時間の経過とともに、これらの軟骨は外傷や、いわゆる変性変化によって損傷を受けることがあります。この画像では、かつては健康で保たれていた軟骨と関節の隙間が、すり減ってしまっている様子がわかります。軟骨と半月板によるクッションが失われ、骨同士がこすれ合うことで、膝のアライメントが崩れ、骨棘と呼ばれる骨のトゲが形成されます。これらの変化はすべて、膝の痛みや機能障害の原因となります。関節内には、ほかにも関節の安定性を保つうえで重要な構造がいくつか存在します。ACL(前十字靱帯)はよく知られた構造で、歩行や方向転換、カッティング動作の際に、脛骨が大腿骨に対して前方に滑り出し過ぎないように抑える役割を果たします。PCL(後十字靱帯)はACLと拮抗し、脛骨が後方に滑り過ぎないように制御します。内側半月板と外側半月板は、円盤状の柔らかい軟骨構造で、膝の安定性を助けるとともに衝撃を吸収します。
これら膝を構成する重要な要素のいずれかが損傷すると、膝関節は不安定になり、最終的には痛みが生じ、毎日の海辺の散歩や日常のさまざまな活動を楽しむことが難しくなります。レントゲン画像に話を戻すと、左側の画像では骨と骨の間にきれいな関節空間が保たれているのがわかります。2~3年たつと、そのスペースが徐々に狭くなり、骨棘と呼ばれる小さな骨のトゲが形成され始めます。変形性膝関節症が進行すると、膝の内側部分の関節スペースがほとんど消失し、いわゆる「骨と骨が直接ぶつかっている」典型的な所見がみられるようになります。
ただし、この進行のタイムラインはすべての人で同じというわけではありません。患者さんごとの外傷歴や活動量によって、進行がやや早い場合もあれば、比較的ゆっくり進む場合もあります。膝関節の病変による症状は、非常に具体的なこともあれば、時に漠然としていることもあります。長時間の活動によって痛みが出て、安静にするといったんは楽になるものの、逆に安静にしているとこわばりのために痛みが強くなることもあります。膝の可動域が低下するのは、痛みによる場合もあれば、膝の構造的・機械的な変化による場合もあります。膝周囲の圧痛もよくみられる症状であり、ACLや半月板の損傷は、腫脹や関節水腫、さらに先ほど述べたような不安定性を引き起こすことがあります。活動量の低下も重要なサインです。
患者さんは、以前のように遠くまで歩いたり、ゴルフで多くのホールを回ったり、ショッピングモールで長時間買い物を楽しんだりすることが難しくなったと訴えます。変形性膝関節症の進行度によっては、気分の変化や抑うつ気分なども、進行した変形性膝関節症の患者さんからしばしば聞かれる訴えです。軽度から中等度の変形性膝関節症で症状がそれに一致する場合、日常的な痛みを和らげ、日々の活動をより行いやすくするために、手術以外の方法を試すことができます。保存的治療としては、活動内容の調整、減量、杖や歩行器などの歩行補助具の使用、痛み止めの市販薬や処方薬、膝関節用の装具、そして注射など、さまざまな選択肢があります。
注射にはいくつかの種類があります。ステロイド注射は、より速やかな痛みの軽減をもたらしますが、長期的あるいは繰り返し使用すると関節に悪影響を及ぼすことが示されています。ヒアルロン酸注射は、いわゆる関節の潤滑を高めるための注射としてよく知られています。また、自分自身の血液や細胞を利用して症状の改善や損傷の治癒を図る、その他の関節内治療もあります。ヒアルロン酸治療は、もともとの関節液環境の質を改善し、関節の潤滑性を高めることで、症状の改善に役立ちます。これらの注射は、医師または外科医が適切な間隔をあけて、一連の注射として投与します。
保存的治療で十分な痛みの軽減が得られない場合、外科医が膝関節内のクリーニング(いわゆる「膝の洗浄」)を勧めることもあります。これは通常、小型カメラと器具を用いた関節鏡手術を行い、膝関節内の遊離した軟骨片や浮遊した破片、小さな半月板断裂などを可能な限り除去することを意味します。これらの手術は、失われた軟骨を元に戻したり、関節表面を作り替えたりするものではありませんが、日常生活に支障が出ない程度まで症状を改善したり、人工膝関節置換術のようなより大きく、長時間を要する侵襲の高い手術が必要になる時期を先送りにすることを期待して行われます。
前にも述べたとおり、関節症は膝の関節軟骨の病気です。軟骨の欠損が比較的小さかったり、局所的である場合には、関節鏡視下あるいは小切開による手術で、その限局した部位に対して軟骨移植を行うことを外科医が勧める場合があります。外科医は、ドナーから提供される他家軟骨(あるいは他家骨)を用いることもあれば、膝の正常な部分から軟骨を採取して欠損部位に移植する、自家軟骨移植を行うこともあります。近年では、膝周囲の荷重のかからない部位から軟骨を採取し、専用の組織回収用デバイスに集めることも可能になっています。
その後、回収した軟骨をドナー由来の軟骨や、自身の血液・骨髄などから得られる自己由来の液体と混ぜ合わせ、その軟骨混合物を膝の本来の軟骨が欠損している部位に再移植します。変性している部位が大腿骨、つまり太ももの骨の側にあり、その範囲がやや大きい場合には、BioUniのような手術法があります。これは骨と軟骨から成る移植片で、外科医が大きな軟骨欠損部位にこれを埋め込む手術です。
部分膝関節置換術は、変性が膝の一つのコンパートメント、すなわち片側のみに限局している場合に理想的です。一方、全膝関節置換術では膝関節全体の関節面を置き換えます。人工膝関節全置換術では、関節症のある部位をすべて金属とプラスチックのインプラントで覆い、金属製の大腿骨コンポーネントと金属製の脛骨コンポーネントの間にプラスチック製のスペーサーを挿入することで、新たな軟骨面として機能させます。手術前の活動レベルや、実施された手術の種類によって、リハビリテーションの進め方や期間は異なります。
リハビリの短期的な目標は、痛みや腫れを軽減し、膝の可動域を徐々に広げていき、最終的に補助具なしで歩けるようになることです。長期的には、患者さんが運動や趣味の活動に復帰し、無理のない範囲で活動量を徐々に増やしていくことが目標となります。人工膝関節全置換術に至るまでの道のりは長くなることがありますが、関節温存をめざす戦略により進行を遅らせ、それでも必要と判断される場合には有効な選択肢となります。私たちの目標は、できるだけ長く痛みなく動ける状態を保っていただき、再び元気に活動を再開できるようにすることです。ご視聴ありがとうございました。
